ARF閣僚会議を開催 米中北朝鮮の外相は不参加
【ソウル=恩地洋介】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中韓など27カ国が参加するASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議が12日、オンライン形式で開かれた。南シナ海を巡る米中対立や北朝鮮の非核化、新型コロナウイルスへの対応が焦点となる。
議長国を務めるベトナムのミン副首相兼外相は冒頭で「世界情勢の不確実性が増している中で、対話を通じて相互の信頼を高めていきたい」と話した。
米国、中国の外交担当閣僚は別の外交日程を理由にいずれも欠席した。日本は茂木敏充外相が、米国はビーガン国務副長官が出席した。
ARFは北朝鮮が参加する唯一の多国間協議の場だが、李善権(リ・ソングォン)外相も欠席し、駐インドネシア大使が出席した。北朝鮮は米国との非核化交渉が行き詰まった2019年も外相の派遣を見送っていた。
北朝鮮指導部の関心はトランプ米大統領との直接対話にある。トランプ氏の再選がかかる11月の米大統領選を控え、非核化を巡る対立が浮き彫りとなる展開を避けたとみられる。新型コロナや水害への対応に追われている事情もありそうだ。
9日に開幕した日米中などとASEANの一連の閣僚級会合は12日に閉幕する。南シナ海問題を巡る米中の対立が改めて際立った。
ポンペオ米国務長官は中国による南シナ海の実効支配を「違法だ」と批判し、中国包囲網の構築に向けた連携強化をASEAN外相に呼びかけた。中国の王毅(ワン・イー)外相は9日の会議で「米国は話し合いによる解決の努力を邪魔し、南シナ海の平和を損なう最も危険な要因だ」と訴えた。
茂木氏は中国について核兵器国、国際社会の重要なプレーヤーとして責任を果たすよう促した。「米中2国間で軍備管理に関する対話を行うことを関係各国とともに後押ししたい」と表明した。
東シナ海と南シナ海を念頭に「インド太平洋の広大な海を自由で開かれた海とすることは我々の共通の利益だ」と訴えた。「現場の状況は悪化している。参加国と深刻な懸念を共有する」とも述べた。日本外務省が明らかにした。
他の参加国からも最近の南シナ海情勢に懸念を示す声が出たという。航行の自由や非軍事化が重要だという指摘もあった。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。