五輪マラソン、朝5時半や6時開始検討 組織委
暑さ対策が課題となる2020年東京五輪・パラリンピックのマラソンについて、大会組織委員会は21日までに、スタート時刻を繰り上げる方向で検討に入った。現在は午前7時の予定だが、午前5時半や6時開始などへの変更を想定。選手の調整や観客にも影響することから、国際オリンピック委員会(IOC)や競技団体と調整して最終判断する。
スタート時刻を巡っては、日本医師会と東京都医師会が10月、組織委の森喜朗会長に午前7時開始では選手や観客の熱中症のリスクが高いと指摘。1時間半前倒しすべきだとする要望書を提出した。
両医師会は11月20日には、桜田義孝五輪相にも同様の要望書を提出。日本医師会の横倉義武会長は「午前7時スタートでは熱中症リスクが極めて高いとみられる午前10時ごろまで競技が続く。対策として十分とはいえない」と指摘した。
ただ、早朝スタートとなると、選手の準備や観客やボランティアスタッフらの交通手段にも影響が及びうる。こうした点も考慮し、組織委は総合的に判断する考えだ。
組織委は7月、スイス・ローザンヌで開かれたIOC理事会で、暑さ対策としてマラソンのスタート時刻を当初計画から30分早めて午前7時とするスケジュール概要について承認を得ていた。
中京大スポーツ科学部の松本孝朗教授は18年7月ごろに行われたマラソン大会で、1キロごとに気温などの調査を実施。熱中症の起こりやすさを示す「暑さ指数」を調べた。
その結果、「マラソンや競歩は、他の競技と比べても休憩なく歩き続けるため危険」としてマラソン競技時間の繰り上げや、競歩のコースを全て天幕で覆い日射を遮るよう提言した。日本医師会などは時刻繰り上げの要望に際し、松本教授のデータを根拠とした。