イラン原油禁輸に苦慮 トルコ反発、インド保留
【ニューデリー=黒沼勇史】米国によるイラン産原油の輸入禁止制裁で、2日に適用凍結を解除された国々が対応に苦慮している。同日にはトルコのチャブシオール外相が記者会見で「短期間で原油の輸入先を変えるのは不可能だ」と述べ、イラン産の輸入を続ける考えを示唆した。インド外務省のクマール報道官も会見で、イラン産の輸入を停止するかと問われ「答えに窮する」と答え、米国の制裁に追従するかどうか言及を避けた。
チャブシオール氏は会見で、イラン以外の国からの輸入を増やすには精製所を改修する必要があると説明した。トルコの原油輸入に占めるイラン産の割合は、米国が2018年5月にイラン核合意離脱を表明するまで5割近くに達し、国内の精製所も硫黄分が比較的多いイラン産原油に対応した設備が多いとみられる。
クマール氏は「エネルギー安全保障などを考慮し(制裁強化への)対応を決める」と述べ、イラン側に配慮をみせた。
インドは原油輸入の1割強をイランに頼る。米制裁の強化を見込み、ほかの産油国からの輸入を拡大する準備を進めてきた。だが、イランとは同国のチャバハール港を共同開発するなど、経済関係を深めてきた。
トランプ米政権は18年11月にイラン産の禁輸制裁を発動したが、一部の国や地域には半年を期限に適用を猶予してきた。
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