スプレー缶原因の火災、相次ぐ 屋内でのガス抜き危険
札幌市で16日、木造2階建ての建物が爆発した事故は、スプレー缶の多量のガスが屋内で充満し、引火したことで引き起こされた可能性が浮上している。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、消臭剤や抗菌剤などのスプレー缶には噴射剤として可燃性ガスが使われており、引火する温度が低く火がつきやすい。密閉された空間では噴出したガスの圧力が高くなり、爆発が起きる可能性が高まるという。
スプレー缶が原因の火災は冬季を中心に多く発生している。東京消防庁の管内では、スプレー缶とカセットコンロ用の燃料ボンベによる火災は2012~16年に592件発生。288人が負傷して死者も1人出ており、2件では建物が全焼した。
原因別では、廃棄のための穴開け作業時に起きた火災が146件に上った。17年には東京都北区の住宅で、住人がスプレー缶2本と燃料ボンベ1本を廃棄しようと穴を開けたところ、台所のシンク内に可燃性ガスが滞留。ガスコンロを点火した際に引火して出火する事故が起きた。
東京理科大の関沢愛教授(建築・都市防災)は「スプレー缶に残ったガスを抜く際は、閉め切った屋内ではせずに、屋外で行うべきだ。缶に穴を開けるのではなく、噴出ボタンを押してガスを出し切る方法が安全」と指摘。「最近は穴開けによるガス抜きをせずにゴミ出しを求める自治体も増えている。各自治体が定める方法で処分・廃棄してほしい」と呼びかけている。