トランプ米政権、トランスジェンダーの排除検討
【ワシントン=中村亮】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、トランプ米政権が性の定義を生まれつきの性別に限定し、変更を認めない措置を検討していると報じた。心と体の性が異なるトランスジェンダーの存在を行政上否定する内容で、多様性を認める世界の潮流に逆行する。11月の中間選挙を間近に控え、共和党支持層の保守派にアピールするねらいとみられる。
ニューヨーク・タイムズによると、米厚生省は性について連邦政府機関が「明確で客観的かつ管理可能な生物学に基づく」定義を採用するよう促す方針を検討している。性の変更を認めず、生まれつきの生殖器で定義すべきだと主張。性別に関して異議がある場合、遺伝子検査に基づいて決着させる考えも示す。
オバマ前政権は教育や社会保障といった分野で性の定義を個人の選択とする考えを打ち出した。米連邦最高裁判所が2015年に同性婚を認めるなど性についてリベラル派の考えが広がったが、トランプ政権下で新しい性の定義が採用されれば大きな転換点となりそうだ。
トランプ政権による新しい定義の検討には、中間選挙で保守的なキリスト教福音派の支持を固める意向がにじむ。オバマ氏の政策を否定し自身の成果を訴えるねらいもありそうだ。オバマ氏はトランスジェンダーの生徒に自らが選んだ性のトイレの利用を認めたものの、トランプ氏は17年2月に撤回する通達を出している。
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