全面復旧へ道のり長く 関空連絡橋の損傷部撤去
西日本高速道路は12日、関西国際空港の連絡橋から損傷した橋桁を撤去する作業を始めた。台風21号の強風でタンカーが衝突し、橋桁に並行する鉄道の線路側にずれ、電車の走行を妨げている。順調に進めば14日にも作業が終わる見込み。その後JR西日本が鉄道部分の橋桁の修復に取りかかる段取りだ。
損傷した橋桁部分は全長約188メートルで、重さ約2千トン。12日に撤去した部分は長さ90メートル、幅15メートルの橋桁で、タンカーの衝突により1.5メートルほど横ずれしていた。12日にはクレーン船でつり上げて運搬船に移動。13日に和歌山県内の工場に運搬する。今後は撤去した橋桁の調査を始め、再利用するかどうか決める。
ただ工事すべてを西日本高速が担うわけではない。連絡橋をめぐる権利関係は複雑だ。道路部分は「日本高速道路保有・債務返済機構」が保有し、管理・運営は西日本高速が担う。鉄道部分は新関西国際空港会社が持ち、JR西日本や南海電気鉄道に貸す形だ。この部分の工事は主にJR西日本が担当することになっている。
西日本高速は14日に並行する鉄道の線路側にまでずれこんでいた98メートル分の橋桁を撤去。JR西日本などが線路の確認や補修に取りかかかる。現在50センチほどの線路を載せる橋桁のずれが確認されている。
今後は線路の橋桁などを持ち上げるなどして、修復に取りかかるという。レールがゆがんでいる場合、取り換えが必要になる可能性もある。
国土交通省は当初、鉄道復旧に4週間かかるとしていたが、石井啓一国土交通相は11日、月内にも再開できる見通しだと明らかにしている。
ただ現在北側車線が対面通行となっている道路部分の全面復旧はすぐにはできない。
関空連絡橋の建設事業に以前関わった技術者によると「橋の掛け替えの仕方は2通り。橋桁を新設するか、既存の橋を補修する。新設は1年弱かかってもおかしくなく、補修についても早くて年内に終わるかどうか。1、2カ月では済む代物ではない」という。先はまだ長そうだ。(土橋美沙、赤間建哉)