フィリピン発電大手、米KKR系が12%出資
【マニラ=遠藤淳】米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)はこのほど、傘下の投資会社がフィリピンの発電大手ファーストジェンに対して実施したTOB(株式公開買い付け)が終了し、約11.9%の株式を取得したと発表した。投資額は96億ペソ(約200億円)。アジアのインフラ分野への投資を拡大する一環だという。
KKRは5月26日、傘下のシンガポールの投資会社がファーストジェン株に対してTOBを実施し、1株を22.5ペソで買い付けると発表した。TOB期間は6月24日に終了した。KKRは発行済み株式の6~9%の取得を目指したが、TOB価格が直前の株価より約27%高かったことから多数の応募が集まり、約11.9%を取得した。
ファーストジェンはロペス財閥傘下の発電会社。首都マニラが位置する北部ルソン島などで天然ガス火力、地熱、水力発電などを手がけ、2019年の発電量はフィリピン全体の21%に上る。ルソン島南部では東京ガスと組んで液化天然ガス(LNG)基地の建設を計画している。
KKRは「ファーストジェンは卓越した事業を行っており、経営を前向きに支援していきたい」とのコメントを出した。ファーストジェンのフェデリコ・ロペス会長は「世界的な投資家とともに環境負荷の低減に取り組みたい」と述べた。