米軍も南シナ海で軍事演習へ、中国対抗を鮮明に
【ワシントン=中村亮】米軍が原子力空母2隻を南シナ海に派遣し、大規模な軍事演習を近く実施することが3日、明らかになった。米軍当局者が日本経済新聞の取材に語った。中国も1日から南シナ海で軍事演習を行っているとみられ、米軍が中国に対抗する姿勢を一段と鮮明にした。
米軍は空母ニミッツとロナルド・レーガンを南シナ海に派遣した。米中が近接した海域で同時に軍事演習を行うのは異例だ。米軍当局者は軍事演習の狙いに関し「あらゆる戦闘の状況下で突出した柔軟性や耐久力、機動性、兵力を備えるためだ」と指摘。「国際法が認める地域で飛行や航行、展開する全ての国の権利を支持する米国の意思を示す」と強調した。
ポンペオ国務長官は3日、ツイッターに「米国は東南アジアの友好国に同意する。南シナ海の係争中の海域での中国による軍事演習は極めて挑発的だ」と書きこんだ。「我々は中国の違法な領有権の主張に反対する」と強調した。国防総省も2日の声明で中国の軍事演習について「中国が南シナ海の軍事拠点化や近隣諸国に対する威圧を改めると期待しつつ状況を注視する」とけん制していた。
南シナ海では米中対立が鮮明になっている。中国が南シナ海で防空識別圏の設定を否定していないことに関し、チャールズ・ブラウン太平洋空軍司令官は6月下旬に記者団に対し「ルールに基づく国際秩序に反する」と懸念を示した。南シナ海で行う米軍の「航行の自由」作戦には中国が反発している。
中国海南海事局は6月28日、7月1~5日に南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島の海域で軍事演習を行うと発表した。同海域はベトナムも領有権を主張している。中国は4月に南沙(英語名スプラトリー)諸島などを管轄する行政区の新設を明らかにして、南シナ海の実効支配を強めている。
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