米黒人暴行死デモ、逮捕者1万人に迫る 暴動は沈静化
【シリコンバレー=白石武志】黒人暴行死事件を発端とする抗議デモは2日夜から3日未明(日本時間3日)にかけてロサンゼルス市やニューヨーク市など全米各地で続いた。各自治体が出した外出禁止令に違反した疑いなどで逮捕された人数は累計1万人に迫った。各地の治安当局が警察や州兵を大規模に動員したことで、略奪や破壊行為などは沈静化しつつある。
白人警官による黒人暴行死事件が起きたミネソタ州ミネアポリス市で5月26日に始まった抗議デモは全米50州に広がった。AP通信によると、外出禁止令違反などで逮捕された人数は6月3日までに全米で累計9300人に達した。都市別ではロサンゼルス市周辺の約2700人が最も多く、ニューヨーク市では約1500人に達したと見込まれている。
ロサンゼルス市周辺では前週末にデモ参加者が一部で暴徒化し、警察車両が襲われるなどの被害が発生していた。ガルセッティ市長は週末のうちに州兵の派遣要請に踏み切り、治安維持活動を強化した。同市周辺では現在、地域によっては午後1時半から外出禁止としており、違反者の逮捕件数が膨らんでいる。
ニューヨーク市は2日夜、前日よりも3時間早めて午後8時から外出禁止命令を出した。市内各地では夜間も抗議デモが続いたが、駆けつけた警官隊とのもみ合いは限定的だったようだ。デブラシオ市長は3日の記者会見で「昨晩の抗議活動は概して平和的になった。夜間外出禁止令が奏功した」と述べた。
トランプ米大統領は州知事らにデモを鎮圧するよう求め、州兵の動員に消極的なニューヨーク州を批判していた。同州のクオモ知事は3日の記者会見で「ニューヨーク市警察はこの事態を抑えられる力を持つ」と指摘。「昨晩は市警がうまく事態を収拾できた」と振り返った。