APEC会合、共同声明出せず 保護主義巡り調整難航
【ハノイ=八十島綾平】21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易相会合は21日、議長国ベトナムによる議長声明を採択して閉幕した。「あらゆる形の保護主義に対抗する」と表明したが、各国の意見の隔たりもあり各閣僚の共同声明にはできなかった。議長声明にとどめたのは2011年以来6年ぶりという。
会合に出席した世耕弘成経済産業相は「今回の会合は保護主義か反保護主義かでなく、貿易投資拡大に向けた道筋の議論だ」としたうえで、「環境が激変するなかで声明を採択できた意義は大きい」と評価した。
会合では、貿易赤字の解消を目指す米国などが「不公正な貿易慣行の是正が必要だ」と主張。日本側もこれには理解を示し、議長声明には「貿易の恩恵を受けるために、各国の競争条件を平等にすることも必要だ」との文言が盛り込まれた。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、会合後の共同記者会見で保護主義という言葉の拡散に懸念を示し、トランプ政権が保護主義へ傾斜しているとの見方に対し「我々は大きな貿易赤字を抱え、不公正な貿易から身を守ろうとしている」と反論した。
そのうえで同代表は「自由貿易の実現のために何ができるのかを考えているが、そうした取り組みが保護主義だと混同されている」と訴えた。