エボラ熱、米国内で初感染か 患者治療の看護師
【ワシントン=川合智之】米南部テキサス州の保健当局は12日、同州ダラスの病院の医療関係者がエボラ出血熱の予備検査で陽性反応を示したと発表した。医療関係者は同病院で8日に死亡したリベリア人患者の治療を担当していた。米疾病対策センター(CDC)が確認検査を進めており、確定すれば米国内での感染は初めてとなる。
医療関係者は10日夜に微熱が出たため、隔離されて検査を受け、11日に陽性反応が出た。州保健当局は12日の声明で「さらなる感染を防ぐため、ダラスの担当チームを拡充する」と表明した。
米CNNテレビによると、陽性反応を示したのは女性看護師という。防護服を着用してリベリア人患者を診ていたといい、なぜ感染したのかは不明だ。当局はリベリア人患者と接触した医師や家族ら48人の経過を観察しており、感染の有無を詳しく調べる。
同病院で死亡したエボラ熱患者は、リベリアで別の患者と接触してから9月20日に渡米し、米で陽性と判明した。西アフリカ以外の第三国で感染が広がった例としては、スペインの病院で患者を担当していた女性看護師のケースがある。
エボラ熱の感染が広がる西アフリカからの渡米者は1日約150人にのぼる。米政府は感染者の入国を防ぐため、11日からニューヨークのケネディ国際空港で検疫を強化。西アフリカからの渡航者全員の検温や聞き取り調査を始めた。近く別の主要4空港にも広げる。
世界保健機関(WHO)によると、西アフリカでのエボラ熱の死者は8日に4千人を超えた。患者の体液に触れると感染するが、空気感染はしない。