JR西、大阪環状線の全駅改装 電子看板や新車両も
西日本旅客鉄道(JR西日本)は24日、2017年度末までにJR大阪環状線の全19駅の構内を順次、改装・改良すると発表した。多くの駅が開業当時のままで、設備の老朽化が目立ってきたため。駅構内に電子看板などを導入するほか、一部の駅では商業施設などを併設して開発する。新型車両の導入も検討、利便性を高め、環状線の利用者増につなげる。
「大阪環状線改造プロジェクト」として、まず森ノ宮、玉造、桃谷、弁天町の4駅で改装・改良工事を先行する。森ノ宮駅では発光ダイオード(LED)照明や電子看板などを導入、案内設備を充実させる。玉造駅では高架下に商業施設や保育園などを整備、14年3月の開業を予定する。
同プロジェクトを主導する長谷川一明取締役は記者会見で「(環状線が)環状運行を始めて来年3月で50年を迎える。多くの駅が当時のまま使われており、設備面で利用客の評価が総じて低かった」と指摘し「駅をきれいにすることで、通勤客の利便性を高め、域外からの観光需要も喚起したい」と述べた。
投資額は森ノ宮駅の改装工事で約7億円を見込む。全駅の改装・改良では数十億円規模に達する見通しだ。
駅前に位置する交通科学博物館が14年4月に閉館する予定の弁天町駅では、同跡地との一体開発を進める考え。「広域からの集客を意識した複合開発を検討している」(長谷川氏)という。
現在、環状線を走る車両の6割が製造から30~35年を迎えていることから、新型車両の導入も計画する。導入する車両数や時期については未定。
環状線全19駅の利用者数は1日平均約108万人で、ピークだった1995年(約136万人)当時から2割程度減っている。環状線の駅には他の路線が乗り入れているところもあるが、減少したのは主に環状線の乗降客とみられる。
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