東証、オリンパス虚偽記載「上場廃止まで重大でない」
「特設注意市場銘柄」に指定
東京証券取引所は20日、有価証券報告書の虚偽記載で監理銘柄に指定したオリンパス株式の上場を維持すると発表した。債務超過には陥っておらず、投資家の判断に重大な影響を与えたとは言えないと判断。1000万円の上場契約違約金を求めるほか、企業統治に問題があることを示す「特設注意市場銘柄」に指定し、今後の経営体質の改善状況を監視する。
上場審査や取引監視を担う東証グループの自主規制法人が臨時理事会を同日開き、オリンパスの上場維持を決定した。記者会見した自主規制法人の美濃口真琴常任理事は「オリンパスの協力も得て調査は尽くしたが、虚偽記載の影響は上場廃止にするほどまでは重大ではない」と説明した。
オリンパスは資産運用の失敗で生じた損失を最大1235億円隠していたが、決算に反映しても上場廃止の理由となる債務超過にはなっていなかった。損失隠しには菊川剛前社長ら歴代トップが関わっていたが、関与は社内の一部に限られ「組織ぐるみ」とまでは言えないと東証は判断した。
もっとも東証はオリンパスの企業統治の体制が十分でないとして21日付で特設注意市場銘柄に指定。同銘柄に指定されると、内部管理体制の改善に関する報告書を年1回提出する必要がある。早ければ1年で解除されるが、最長3年で改善しなければ上場廃止となる。
オリンパスは20日、「東証の判断を真摯に受け止め、一日も早い信頼回復に向けた抜本的な改革を進めていく」とのコメントを出した。
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