売買停止の241銘柄、午後から取引再開 東証
東京証券取引所は2日、システム障害で株価や注文状況を証券会社などに配信できなくなったとして、取引開始時刻の午前9時から株式、上場投資信託(ETF)など計241銘柄の売買を停止し、午前中の取引ができなかった。東証のシステムを利用している札幌証券取引所も全74銘柄を売買停止にした。東証と札証は「午後0時30分から全銘柄の売買を再開する」と発表した。2010年1月に稼働した東証の新システムが、大規模なシステム障害を起こしたのは初めて。
東証が売買停止にしたのは、株式222銘柄、上場投資信託(ETF)12銘柄、不動産投資信託(REIT)2銘柄、新株予約権付社債(転換社債=CB)5銘柄。全銘柄の約1割に当たる。
大阪証券取引所のシステムは通常通り動いており、重複上場するソニー、日立製作所、東京電力、関西電力など55銘柄については売買ができる。名古屋証券取引所と福岡証券取引所も取引は通常通り。
東証の取引データを管理する8台のサーバーのうち、1台に障害が起こった。売買注文を付け合わせるシステムなどは正常という。東証は原因を調べているが、11時現在、分かっていない。「昨日までは正常に動いており、今年に入ってシステム変更はしていない」(広報)という。1月10日に、配信する株価データの仕様変更の連絡ミスでQUICKの端末などで一部銘柄の情報が表示できなくなるトラブルが起きた。東証は「今回の障害とは関係ないと見ている」(広報)という。
売買停止にした銘柄には、ソニーなど日経平均株価を構成する20銘柄や、東証株価指数(TOPIX)を構成する153銘柄も含まれている。両指数は、該当銘柄だけ前日の終値を使用して算出を続けている。
東証では、05年と06年に大規模なシステム障害が発生。富士通と共同で現在のシステム「アローヘッド」を開発した経緯がある。
東証の株価情報配信システムの障害を受け、2日の東京株式市場には混乱が広がった。売買停止となっている銘柄には主力株も多く、「投資家から問い合わせが相次いでいる」(松井証券)。
日経平均株価などの株価指数に採用されている銘柄も一部が売買停止となり、株価指数とそれに連動する先物を同時に売買する「裁定取引を手掛ける証券会社の自己売買部門の身動きがとりづらくなっている」(国内大手証券)という。
前日の欧米株高を受けて株式市場では買いが先行。日経平均株価は3日続伸し、午前終値は前日比69円88銭(0.79%)高の8879円67銭。ただ、市場では「システム障害がなければ、大口の投資家からの買いがもっと入っていた可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)との声も出ていた。