別の報告書も虚偽記載、特捜副部長が作成 陸山会事件
資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、民主党元代表、小沢一郎被告(69)の強制起訴を議決した東京第5検察審査会に東京地検が送付した資料の中に含まれた同地検特捜部副部長が作成した捜査報告書にも、事実と異なる記載があることが22日、わかった。検察官役の指定弁護士が小沢元代表の弁護側に開示した21点の捜査資料に含まれていた。
元代表の公判では、元秘書の取り調べを担当した検事が作成した捜査報告書に、虚偽の記載があったことが既に判明。副部長作成の報告書は、この報告書を引用する形で作成されていた。
新たに明らかになったのは、検察審の1度目の起訴相当議決を受け、元代表を再捜査した際に副部長が作成した2010年5月19日付報告書。取り調べ検事が、元秘書の供述状況について「親分を守るために嘘をつけば、選挙民を裏切ることになると言ったところ、小沢氏の関与を供述した」という虚偽のやり取りを記載した同月17日付の報告書が引用されていた。
その上で、元代表の関与についての元秘書の供述が「具体性に欠ける」などの消極的な証拠評価も記載されていた。
このほか、19日付で主任検事が作成した別の報告書には、特捜部による元代表の取り調べ状況なども記載。陸山会の04年分政治資金収支報告書に土地購入代金が記載されなかったことについて、元秘書らと異なる説明をしている点を挙げ「元代表の供述は虚偽だ」と記載されているという。
元代表の弁護人は取り調べ検事が作成した報告書を既に証拠請求し、「虚偽の内容に基づく強制起訴は無効」と公訴棄却を求めている。弁護側は、今回開示された報告書の内容を精査し、証拠請求するかどうかを検討するとみられる。