グリー経常益800~900億円に上方修正 12年6月期
ゲーム収入大幅増
携帯交流サイト(SNS)運営大手のグリーは2日、2012年6月期の連結経常利益が800億~900億円になりそうだと発表した。前期比2.6~2.9倍の大幅増益で、従来予想から200億円上方修正した。サイトで遊ぶゲームの有料課金収入が想定以上に増えた。昨年10月末に続き、今期2度目の上方修正となる。
売上高は2.5~2.6倍の1600億~1700億円。従来予想から300億円積み増した。運営するSNS「GREE」の会員増でサイト内で不特定多数と遊べる「ソーシャルゲーム」の利用が拡大。ゲームを有利に進めるために使うアイテムの購入が活発になり有料課金収入が大幅に増加する。
営業利益の予想も2.6~2.9倍の800億~900億円と200億円引き上げた。製造業のような大規模な設備投資負担がなく、利益率が高いのが強み。今期はテレビCMの積極化で広告宣伝費が増加。技術者の採用も強化するため販売費・一般管理費が膨らむが、増収で吸収する。
売上高営業利益率は約52%と、前期実績(49%)から3ポイント程度上昇する見込み。純利益も440億~500億円と2.4~2.7倍に増えそうだ。
昨年、米SNS大手を買収し、足元ではソーシャルゲームの海外進出に向けた準備を進めている。ただ海外事業については、今期の業績予想には費用だけを織り込み、収益への寄与は考慮していない。海外の収益寄与が早まれば、一段の業績上積み要因になる。
同日発表した11年10~12月期決算は、連結経常利益が単独決算だった前年同期比3.2倍の224億円だった。前四半期(11年7~9月期)に比べても36%増と高成長を維持している。
今年に入り一部報道などで「無料と紛らわしいビジネスモデルに行政が規制に乗り出す」との観測が浮上。グリーなどソーシャルゲーム関連銘柄の株価が低迷しているが、記者会見した田中良和社長は「グリーのゲームは無料と有料の範囲を明瞭に示しており、消費者庁とも連絡を取り合って健全化に努めている」と話した。
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