パキスタン、中国製原子炉6基新設へ
パキスタンが少なくとも6基の中国製原子炉の新設を計画、中国から原子力技術や資金面での支援を受けるための交渉が合意に向けて最終段階にあることが13日、分かった。パキスタン原子力委員会(PAEC)の関係者が共同通信に明らかにした。
新規原子炉のうち4基は南部シンド州カラチに、1基は同州サッカルに建設を検討。既に中国製原発が稼働中の中部パンジャブ州チャシュマにも少なくとも1基増設する方針。出力は約30万キロワットと約100万キロワットの2種類。
電力不足の解消が目的だが、核兵器保有国パキスタンは核拡散防止条約(NPT)に未加盟で、核科学者カーン博士が構築した「核の闇市場」を通じて核技術を北朝鮮やイランに拡散させた過去があるため、米国が反発するのは必至で国際社会から批判が強まる可能性が高い。
パキスタンは宿敵の隣国インドが欧米諸国と次々と原子力協力協定を締結し、原発新設計画を加速させていることを意識し、国際的な協力が得られない中、中国との結び付きを一層強めそうだ。
パキスタンではカラチでカナダ製の原子炉1基とチャシュマで中国製の2基が稼働し、総発電容量の2%に当たる計約79万キロワットを占めている。チャシュマで既に中国製の2基の建設予定も明らかになっているが、電力不足は深刻で全土で1日数回の停電が続いている。PAECは新規原発により発電容量を2023年までにさらに計434.5万キロワット分引き上げる計画。
パキスタンは、中国からの原子力協力について、核関連物資・技術の輸出管理を行う原子力供給国グループ(NSG)の承認を受けていないが、中国がNSG参加前の1986年にパキスタンと原子力協力協定を結んでおり承認は必要ないとの立場を取っている。
(イスラマバード=共同)