原発再稼働、事前説明は10キロ圏自治体に限定
政府方針 30キロ圏自治体は反発
政府は16日、定期検査で運転停止中の原子力発電所の再稼働の手続きで、事前に説明して合意を得る地方自治体の範囲を、原則として原発から半径10キロメートル圏内とする方針を固めた。範囲を30キロメートル圏に広げるよう求めている一部の自治体は反発している。
内閣府原子力安全委員会が現在、原発の防災指針で定めている「防災対策重点地域(EPZ)」は半径10キロメートル。政府が今国会に提出した原子力規制庁設置関連法案が成立すれば、規制庁が従来の防災指針を改め、EPZに代わって新たに半径30キロメートル圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」に指定、圏内の自治体に防災計画の策定を求める方針だ。
一部の周辺自治体は、防災指針の見直しの趣旨を踏まえ、30キロメートル圏に事前説明するよう求めている。藤村修官房長官は16日の記者会見で、合意を求める対象と、UPZの範囲は「内容が全然違う。連動しない」と表明し、10キロメートル圏の自治体に限る考えを示唆した。ただ「画一的に決めるわけではない。地元の状況をみながら最終的に政治レベルで判断する」とも語った。
再稼働の判断が近づいている関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の場合、半径30キロメートル圏には京都府と滋賀県の一部が含まれるが、10キロメートル圏なら福井県内だけが対象になる。大飯原発の再稼働に難色を示している滋賀県の嘉田由紀子知事は16日、「原発事故という前例のない大災害を引き起こした自覚が国にはないのではないか」と藤村長官の発言を批判した。
安全委は来週にも、大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性調査)1次評価結果についての報告書をまとめる。これを受けて野田佳彦首相と藤村長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚が協議。再稼働が可能と判断すれば、大飯原発の周辺自治体の合意を得る手続きに進む。
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