ANK機異常接近 管制官が誤指示、高度確認せず
運輸安全委が報告書
北海道・旭川空港付近でエアーニッポン(ANK)運航の全日空325便が大雪山系の山岳地帯の山に激突寸前まで異常接近したトラブルで、運輸安全委員会は27日、管制官が航空機が飛行できる最低高度を確認せずに降下を指示し、機長と副操縦士も指示に疑問を感じたにもかかわらず管制官へ確認しなかったことが原因だったとの報告書をまとめた。
同便は2010年10月26日、同空港に着陸するため降下中、山岳地帯に近づき、一時山頂まで200~220メートルに接近。警報を受けて急上昇したため墜落は回避し、けが人もなかった。
報告書は管制官が上空にいた別の航空機との距離確保に意識が向き、周辺の最低高度の確認を失念したと指摘。空港東の大雪山系の山岳地帯は2千メートル級の山が連なり、最低高度は3千メートルだったのに、管制官は同便に約1500メートルへの降下を指示し、山への異常接近を招いた。
同便が急上昇したため、管制官は最低高度違反の降下指示をしたことに一度は気付いたが、2~3分後に再び同様の指示を繰り返した。
機長と副操縦士は山岳地帯に向かう指示に抵抗感を覚えていたのに、互いに話し合ったり、確認したりしなかった。副操縦士は助言しなかったことについて「出過ぎないよう心がけていた」と話したという。
報告書は管制官が最低高度を下回る降下指示をした場合、警報を出すシステムの導入や、最低高度を公表して操縦士らに注意喚起するなどの再発防止策を求めた。