阪大、男性不妊の原因酵素を特定

大阪大微生物病研究所の伊川正人准教授や徳弘圭造特任研究員らは、精巣にある酵素の1つが働かないと男性不妊の原因になることをマウスの実験で見つけた。体内で細胞同士がくっつくのに関わっている接着たんぱく質が作れず、受精できなくなった。精子の運動が正常でも不妊になる可能性があるという。米科学アカデミー紀要（電子版）に21日、掲載される。

精巣内で働く酵素「PDILT」に着目した。遺伝子操作でこの酵素のないマウスをつくると、交尾しても受精しなかった。細胞の接着に関わるたんぱく質ができなくなっていた。

一方で遺伝子操作したマウスの精子をメスの卵管に入れると、受精率は正常なマウスと変わらなかった。生まれたマウスにも異常はなかった。

細胞の接着能力は、精子が子宮から卵管を駆け上って受精するために欠かせないとみられる。マウスだけでなく、人でも同様の仕組みがある可能性があるという。不妊の原因の解明や、治療、診断法の開発に役立つという。