ドコモ・民放がスマホ向け有料放送 高画質、4月から
対応端末の普及へ課題も
NTTドコモと民間放送局などが出資するmmbi(東京・港)は16日、4月1日に開始するスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向け新放送の詳細を発表した。ドコモは放送事業に参入し、通信と放送を融合させた新たな土台作りを狙う。新規分野の拡大を急ぐドコモの戦略事業だが、視聴には専用の端末が必要となるなど普及に向けた課題も多い。
■月額420円
新放送の名称は「NOTTV(ノッティービー)」。月420円で「ワンセグ」の約10倍の高画質で、ニュースやドラマ、スポーツ中継などを3チャンネルで24時間楽しめる。
mmbiの二木治成社長は記者会見で「通信と放送が融合した新しいサービス」と話した。初年度100万の契約を目指す。2015年度に600万契約に拡大し、収支の黒字化を目指す。
視聴にはドコモの対応端末を購入し、ドコモショップなどで契約する必要がある。ドコモは対応端末を12年度上期中に7機種発売する方針だ。
地上波テレビをそのまま流す「ワンセグ」と異なり、民放各社と協力して独自に番組を編成。
民放各局がコンテンツ提供で協力する。
放送には地上アナログ放送終了に伴って空いた周波数帯を使う。不特定多数に番組を一斉配信し、数百万人が同時視聴しても回線の混雑がないのが利点。「1対1」の通信回線を使った動画サービスに比べ遅延や回線負担がない。
スマホの通信回線を使い、視聴者が簡易ブログのツイッターなどを通じて番組に発言を投稿したり、クイズ番組に回答したりといった通信融合型の双方向番組も可能だ。
■他社は様子見
ドコモと民放が鳴り物入りで始めるサービスだが、課題も多い。
事業の成否は「対応端末の普及がカギ」(mmbiの二木社長)。しかし、現状では専用アンテナを搭載したドコモのスマホでしか利用できず、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」では視聴できない。日本独自の規格のため、海外製のスマホでは対応できない。KDDIやソフトバンクも放送局への参入や対応端末の発売では様子見の姿勢を崩していない。
対応エリアは東京、名古屋、大阪などで始め、14年度にほぼ全国を網羅する。ただ126の基地局で全国をカバーする計画のため「室内など視聴が難しい地域が出る可能性がある」(通信会社幹部)との指摘もある。
インターネット上では「ユーチューブ」や「ニコニコ動画」など様々な動画サービスがあり、競争は激しい。ドコモの販売促進策と、優良コンテンツの確保が利用者獲得を左右しそうだ。
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