東京23区にサッカーなどのプロチームを 官民で創設後押し
東京23区にプロ野球以外のプロスポーツチームを作ろうと、自治体や民間団体などが支援活動に乗り出している。区が支援協定を結んだほか、地元のサッカーチームをJリーグに昇格させるための特定非営利活動法人(NPO法人)が誕生した。23区内では地域への愛着が希薄な住民が多いといわれ、「地域のチーム」を作ることで地元意識を持ってもらうのが狙いだ。
東京都墨田区はフットサルチーム「フウガ東京」と、ホームタウンスポーツチームの協定を結んだ。区総合体育館を試合で優先的に利用できるようにする。フウガはプロリーグ「Fリーグ」の下の関東1部リーグ所属。来季から「フウガすみだ」に改称してFリーグ昇格を目指す。
同区は応援イベントとして親子フットサル教室を3月に開催。イベント運営を補助するボランティアも募集する。区は「地元のプロチームができることで区民に地域への愛着をもってもらえる」と期待する。
葛飾区では区サッカー連盟幹部が中心となってNPO法人「国際サッカー普及育成会」を設立した。都社会人サッカー連盟3部リーグのチームを「葛飾ヴィトアード」と改称し、将来のJリーグ昇格を目指す。
区施設を練習場として週4回、優先的に利用できるように交渉中。現在、週1~2回の練習回数を増やし、3月には選手の選考会も開く。普及育成会はチーム運営のための資金集めもする予定。
23区内の中小企業が支援するのはJリーグの3段階下のリーグに所属する「東京23フットボールクラブ」。建築会社経営の西村剛敏代表らが運営会社のTOKYO23(東京・新宿)を設立。資金集めや選手獲得などの支援を始めた。
同社は選手に研修をしたうえで、協力企業への就職を仲介している。約35社のスポンサーや、グッズ販売などで年間約1500万円の活動費も確保し、練習場の使用料などに充てる。
23区に本拠地を置くプロスポーツチームは野球の読売巨人軍と東京ヤクルトスワローズだけ。バスケットボール「bjリーグ」の東京アパッチは代々木第二体育館(同・渋谷)をメーンに活動していたが、東日本大震災で活動休止している。
Jリーグの拡大などで全国にプロスポーツチームが増えていることも、23区にプロスポーツを作ろうという意識を高めている。移住者が多い土地柄から地元への愛着が薄いと言われてきたが、東京23フットボールクラブの西村代表は「東京に移住してきた人の次の世代がこれから増えてくる。23区でも地元意識が高まる」と期待している。