悪質自転車取り締まり強化 警察庁、歩行者保護へ
走行可能な歩道「幅員3メートル以上」
自転車が絡む事故やマナー違反が相次ぐ中、警察庁は25日までに、歩行者保護を柱とする自転車の総合対策をまとめた。同日付の通達で自転車が通行可能な歩道の基準を引き上げたほか、悪質な運転の取り締まりを強化する。同庁は「車道走行の原則やルールの周知徹底を図り、事故抑止につなげたい」(交通企画課)としている。
道路交通法で自転車は「軽車両」と定義され、車道通行が原則となっている。ただ各都道府県公安委員会が認め、標識で明示している歩道は通行できる。子供や高齢者が運転する場合や、車道が危険な場合なども歩道通行が認められる。
警察庁は自転車が通行可能な歩道の幅員についてはこれまで通達で原則「2メートル以上」としていた。しかし、歩行者との接触事故などが後を絶たないことを受け、今回の総合対策に併せた新たな通達で「3メートル以上」に改定した。
各都道府県警が通達を踏まえ、交通量などの個別事情も考慮して通行可能な歩道の具体的な見直し計画をまとめ、警察庁が年明けをめどに公表する見通し。この中では、幅員が3メートル未満でも、並行する車道の交通量が多い歩道などは、自転車の通行を引き続き認めるとみられる。
一方、歩道を通行する自転車に対して「歩行者優先のための一時停止」や「車道寄り通行」といったルールの周知徹底を図るほか、悪質な自転車運転は道交法違反で摘発するなど取り締まりを強化する。競技用自転車「ピスト」などブレーキを外した整備不良も対象になり得るという。
自転車関連の交通事故は東京都内など都市部で目立つ。警視庁によると、今年8月末時点の都内の交通事故全体に占める自転車が関与した事故の割合は37.8%。大阪府警によると、同府内の9月末時点の同じ数値は32.8%。いずれも昨年の全国平均の20.9%を大きく上回っている。