オリンパス下山元社長、損失隠し「記憶にない」
1984年から93年までオリンパス社長を務めた下山敏郎氏(87)は9日午前、自宅で日本経済新聞などのインタビューに応じた。社長在任中に証券投資の損失隠しが実行されたかについては「記憶にない」と明言を避ける一方、当時の財務部門が実施した可能性について言及した。主なやり取りは以下の通り。
――社長の在任期間に損失隠しがあったか。
「社長に対して財務に関するすべての報告が来るわけではないし、記憶にない。あったとすれば財務部門がやったのではないか。当時は岸本正寿氏(93年~2001年の社長)が財務担当(の役員)だった。私は営業畑で、財務の細かいところは聞いていない」
――損失隠しがあったことを知った時期は。
「8日の報道で知った。非常に残念。従業員がかわいそうだ」
――オリンパスの第三者委員会や調査当局から要請を受けた場合、協力する考えは。
「必要ならば協力する。もっと現役に近い人たちを調査してほしいという思いはあるが」
――オリンパスの現経営陣に望むことは。
「オリンパスは本来、堅くて地味な会社。他社がやっているような普通のことを、きっちりとやってほしい。このままでは社員に申し訳ない」
――菊川剛前社長をどう評価しているか。
「彼は商社からオリンパスに転職し、営業畑を歩んできた。先進的なセンスを持つ人だが、本来ならば、ものづくりの心をもっと学んでもらう機会があっても良かったのではないかと思う」
――90年代の含み損が1000億円を超えていたという情報もある。
「全く知らない」
――90年代から損失隠しが長期間にわたって続いてきた原因は、どこにあると考えるか。
「財務担当でなかったので、よく分からない」
――下山氏が社長だった時代のオリンパスは正常だったと言えるか。
「正常な会社だった。私は軍人上がりで、不正は大嫌いだ」
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