がれき受け入れへの理解要望 環境相、静岡県市長会に出席
東日本大震災の被災地で発生したがれきの受け入れ問題で、細野豪志環境相は22日、静岡県市長会で「被災地のがれき処理が復興への第一歩」と述べ、被災地以外でのがれきの広域処理に理解を求めた。一方、各市長からはがれきの安全性に関する情報開示や焼却灰の最終処分場の確保など国などへの要望が相次いだ。県内では島田市が受け入れの方針を示しているが、住民には根強い反対もあり、調整は難航しそうだ。
静岡市内のホテルで開かれた県市長会には県内23市の全市長が出席した。細野環境相は震災で発生したがれきの広域処理に関する国の方針を説明。「(がれき処理は)東北の再生のためにどうしても乗り越えなくてはならない問題。力を貸していただきたい」と話し、県内自治体でのがれき受け入れに理解を求めた。
また県内で受け入れる可能性がある岩手県大槌町、山田町のがれきからは放射性物質がほぼ検出されていないとした上で「危険は全くない」と明言。県内でのモニタリング調査や、地元住民への説明に環境省から職員を派遣する考えを示し「万が一、危険な状況が起きた時は国が責任をとる」と語った。
会合では各市長から要望や質問などが相次いだ。「放射性物質が検出されなくても、農産物に風評被害が広がる可能性がある」(原田英之袋井市長)、「がれきを燃やした焼却灰の引受先を国が責任を持って確保してほしい」(栗原裕康沼津市長)などの声が上がった。
がれき受け入れの方針を示している島田市の桜井勝郎市長は「毎日50~60通のメールが届き、98%が反対。一方で東北からは賛成の手紙も届いている」と市民らの反応を説明し「東北のために協力したいという気持ちは今でも変わらない。(地域住民には)根気よく説明したい」と話した。
24日には細野環境相が島田市を訪れ、地元住民の代表者に改めて説明する予定という。
市長会会長の鈴木尚富士市長は「被災地や今後の災害のことを考えれば、協力すべきことと再確認した。市長会として共同歩調をとっていきたい」と語り、がれき受け入れに前向きな姿勢を改めて強調。国には最終処分場の確保などを求める要望書を年内に提出するという。