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シャープ、ガラパゴス"撤退"報道の裏側

タブレット戦略の胸算用

ジャーナリスト 石川 温

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「ガラパゴス"絶滅"」「『ガラパゴス』進化せず」――。9月15日、いくつかのニュースサイトで、シャープのタブレット端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」にかかわるセンセーショナルな見出しが躍った。2010年にシャープが、「世界の標準技術に日本ならではのノウハウと技術を融合させた世界に通用する製品」としてガラパゴスと名付けて投入した端末が、発売から1年を経たずに"市場から撤退する"という報道だった。しかしシャープはこれら報道が出るやいなや、「撤退することはない」と否定するコメントを出した。意図しない撤退報道の裏にはいったい何があったのか。

現行モデルの在庫切れを"撤退"と報道される

発端はシャープがガラパゴスをネット経由で直接販売していたことにある。従来の製品と同様に家電量販店などの流通網を経由してガラパゴスを販売していれば、店頭在庫がなくなった段階でひっそりと市場から姿を消すため、大きな騒ぎになることはなかっただろう。

しかしガラパゴスはメーカーのシャープが直販してきたため、現行モデルの在庫が切れたときに「販売終了」とアナウンスせざるを得なかった。この「販売終了」がイコール"撤退"という報道につながってしまったようなのだ。

「そのタイミングで後継機種の発表をすることも考えました。しかし(後継機種の発売予定が)まだ先だったこともあり、発表は見送りました。その結果が『撤退報道』につながってしまったわけです」(シャープの通信システム事業本部メディアタブレット事業推進センター商品企画部笛田進吾チーフ)。

報道直前の8月末には、新モデルとなる7インチサイズの製品を発表済みだった。このモデルからはイー・モバイルとパートナーシップを結び、モバイル無線LANルーター「Pocket WiFi」とのセットでガラパゴスを販売している。さらに12月にはUQコミュニケーションズが提供する「モバイルWiMAX」の通信モジュールを内蔵した7インチタイプの発売を予定する。

新機種を相次いで投入しているシャープは、「ガラパゴスは"絶滅"していません」(笛田氏)と断言する。

 今後もシャープはガラパゴスに注力していくが、販売方法に大きな方向転換があったことには間違いない。初代モデルの発売から1年弱が経過し、単独でタブレット端末を売るのではなく通信会社の回線契約とひもづけることで、初期費用を抑えてユーザーが買いやすくする施策をとっている。

WiMAX内蔵モデルなら、UQの回線契約を組み合わせることで初期費用を4800円に抑えられる。ガラパゴスの初期モデルの販売価格が5.5インチのサイズで4万円弱だったことを考えると、かなり手が届きやすい価格になっている。

「シャープが製品を開発・製造し、UQがネットワークを提供する。家電量販店やプロバイダ(インターネット接続事業者)はMVNO(仮想移動通信事業者)となって販売する。それぞれが役割分担をすることで、消費者の購入のハードルを一段下げて提供できるようになる」(笛田氏)。

日本でタブレットが米国ほど広がらない理由は…

シャープはガラパゴスを電子書籍端末だけでなく、「様々な機器につなぐ中核デバイス」として位置づけている。パソコンを代替するものではなく、スマートフォンや液晶テレビ「AQUOS」とも連携させていく計画だ。初代モデルの発売当初は電子書籍を閲覧するための端末に特化していたが、7月には基本ソフト(OS)をAndroid(アンドロイド)の「2.3」にバージョンアップさせた。WiMAXモデルではタブレットを介してほかの機器をネットに接続する「テザリング」にも対応。笛田氏は、「家のなかの機器をすべてガラパゴス経由でインターネットにつなげられるようになる。導入コストや維持費はかなり抑えられるのではないか」と言う。

昨年、米アップルからタブレット端末の「iPad」が登場し、米グーグルのアンドロイドも追随したことで盛り上がっているように見えるタブレット市場。実際のところは「iPadの一人勝ち」といえる。そのiPadは今年、後継機種の「iPad2」が発売されるなど話題の中心にあるが、アップルは日本での売れ行きに満足はしていないようだ。アップル関係者は「米国市場のように、もっと売れてもいいはず」と市場規模を横目で見ながら首をかしげているという。

 日本では、ようやく一般のユーザーがスマートフォンに興味を示し始めたところで、タブレットが売れ始めるのにはやや時間がかかると予想される。ユーザーがスマートフォンでタッチパネルデバイスの利便性を知り、「家では大きな画面で操作したい」という需要を持つようになるには、もうしばらく時間がかかるのではないか。

iPadに飛びついた人の中にも「どう使っていいか迷う」と活用法を見いだせない例があるほど。それだけにメーカーと通信会社には「タブレットの有効な使い方」をもっと提案する必要があるだろう。

スマートフォンは従来型携帯電話からの機種変更需要があるので、自然に売り上げが伸びていくものと予想できる。これに対してタブレットは、新しい市場を開拓しなくてはいけないだけに「ユーザーが持ちたい、使いたい」と思わせるきっかけを与える必要がある。

高解像度化でタブレット市場は新ステージへ

2012年、タブレット端末には「高解像度化」という大きな波がやってくる。来年春ころに登場するであろう次期iPadでも、さらに高解像度化が進むと噂されている。

シャープは「IGZO」と呼ぶ新しい液晶デバイスを準備しており、今後発売されるガラパゴスに搭載される可能性が高い。「IGZOは高精細でいくのか、長時間稼働を狙うのかを選べる。タブレットに最適な液晶といわれており、かなり面白い商品ができあがりそうだ。シャープにとっても、大きな節目になると思う」(笛田氏)。

シャープはガラパゴスの発売時にコンテンツ調達を目指し、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と共同出資会社を作った。しかしCCCとは9月いっぱいでたもとを分かち、共同出資会社はシャープの100%子会社「ガラパゴス ネットワークス」に生まれ変わらせた。その結果、コンテンツ調達のフットワークが軽くなり、シャープがやりたいようにやれる体制が整ったようだ。

端末、コンテンツ、そして他社にないデバイスを手にしているシャープ。初代モデル発売から1年が経過しており、端末の売り方やコンテンツ調達を「勉強」する期間はもう終わりを迎えた。2012年はこれまでの教訓を生かし、タブレット事業で勝負に出る年となりそうだ。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

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