石川議員捜査報告書、事実でない発言記載 陸山会事件公判
資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第9回公判は、15日午後も東京地裁(大善文男裁判長)で証人尋問が続き、田代政弘検事(44)は、強制起訴の根拠になったとされる2010年5月の捜査報告書について事実と異なるやりとりを記載したことを認めた。
捜査報告書は、東京第5検察審査会の1回目の議決後に行われた検察側の再捜査で、田代検事が元秘書の石川知裕衆院議員(38)=同罪で一審有罪、控訴=を取り調べた数日後に作成した。報告書には、石川議員が「小沢元代表に虚偽記入を報告し、了承を得た」という捜査段階の供述内容を維持したことについて、同検事に「ウソをつくようなことをしたら選挙民を裏切ることになる」などと言われたのがきっかけと記されていた。だが、石川議員が隠れて録音した再捜査の取り調べの記録には、同検事に促されたとする発言などは存在しなかった。
検察審は強制起訴の議決書で、捜査報告書によると再捜査でも石川議員の供述にブレがないとして、供述の信用性を認めると判断していた。
弁護側は「実際は田代検事が誘導などを用いて供述を維持させたのではないか」と追及したが、田代検事は誘導を否定。実際には無かったやりとりが、報告書に書かれていた点については「記憶が混同してしまった」と釈明し、故意ではなかったとした。