新日鉄、君津の高炉改修を前倒し タイ洪水で需要減
新日本製鉄は16日、君津製鉄所(千葉県君津市)で2012年1月に計画していた高炉の一時休止を今年12月1日に前倒しすると発表した。タイの洪水被害や世界経済の減速などで鋼材需要が10~12月期を中心に当初見通しより30万トン減ると判断。高炉の稼働停止を早めて予定していた改修に入り、鋼材需給を調整する。
休止するのは同製鉄所に3基ある高炉のうち、内容積3273立方メートルで最も小さい第2高炉。1月中旬から約400億円を投じて4500立方メートルに広げる。再稼働時期は計画通り12年5月17日を見込む。
11年10月下旬時点では10月~12年3月期の鋼材出荷量はタイの洪水被害の影響で想定より30万トン減りそうだとしていた。タイに加えて世界経済の減速で鋼材需要がさらに30万トン落ち込むと判断した。
ただ、鋼材の有力ユーザーである自動車業界はタイ洪水による生産混乱を少しずつ脱しつつある。12年1~3月期の需要動向は不透明なため、11年10月~12年3月期の鋼材出荷見通し1500万トンは変えていない。
新日鉄は同製鉄所や大分製鉄所(大分市)などで合計9基の高炉を持つ。需要が減っている足元では1基止めて、残り8基の稼働率を上げた方が生産効率は高いという。
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