ビヨンセなど130万曲取得 ソニーの版権買収
ネット配信事業に弾み
ソニーは12日、投資ファンドなどと共同で英EMIの音楽出版会社を総額22億ドル(約1700億円)で米金融大手のシティグループから買収することで最終合意したと発表した。買収で130万曲以上の音楽著作権を取得し、CD販売やインターネット配信などを通じて版権利用料の収入拡大につなげる。ソニーは主力のテレビ事業の不振が続いており、音楽などソフト事業の強化を急ぐ。
買収のための新会社を設立し、ソニーの米国子会社とマイケル・ジャクソン遺産管理財団が共同で3億2500万ドル(約250億円)を出資する。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの政府系ファンドであるムバダラ開発公社や、米ブラックストーン・グループの投資ファンドなども新会社に出資し、残りの資金は借り入れでまかなう。
買収完了の時期は未定という。買収後は、ソニー子会社とマイケル・ジャクソン遺産管理財団が折半出資する米音楽出版会社のソニー・ATVミュージック・パブリッシングが音楽出版事業を展開する。テレビや映画などで楽曲が使われるたびにライセンス料が入る仕組み。
EMIの音楽出版会社は、人気歌手のビヨンセやノラ・ジョーンズらの著作権を管理するほか、「ボヘミアン・ラプソディー」など過去のヒット曲、テレビ番組の主題歌など世界130万曲以上の著作権を持つ。
ソニーはすでにソニー・ATVを通じてボブ・ディランの楽曲など約75万曲の著作権を所有しており、作品群を大幅に拡充する。
ソニーはテレビ事業の不振などが響いて2012年3月期まで4期連続で最終赤字が続く見通しで、安定収益源になっている音楽・映画などコンテンツ事業を強化する。一方、EMIのレコード部門は、11日に仏メディア大手ビベンディと傘下のユニバーサルミュージック・グループが12億ポンド(約1500億円)で買収することでシティグループと合意している。
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