検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「75歳現役社会」を支える

高齢化に克つ(1)

技術で創る未来

詳しくはこちら

日本は世界最速で世界一の高齢化社会に突入している。医療の進歩に伴い寿命は延びたものの、社会保障費の増大や少子化による労働力人口減少といった「負の側面」が経済成長と産業競争力の足かせとなる。逆に言えば日本が得意とする技術などを駆使し、高齢化社会の抱える課題に対して解決への糸口と道筋を提示できれば、世界のモデルともなりうる。高齢化に克(か)ち、活力ある社会の実現を目指す最先端テクノロジーの現場に迫る。

高齢者が自動車教習所の教官並みの運転ができる――。トヨタ自動車、同社が出資する豊田中央研究所(愛知県長久手町)、東京農工大学、東京大学による10年計画の共同研究が動き出した。「見通しの悪い道の危険を予測して速度を落とす」「飛び出してきた人を発見するとブレーキをかけながらハンドルを切って避ける」。走行環境の認知から操作まで運転熟練者の知能モデル化を目指し、危険回避のアルゴリズム(計算手法)の第一人者である農工大大学院の永井正夫教授らと最高水準の安全技術を誇るトヨタが手を組んだ。

交通事故減らす未来の車

昨年12月の東京モーターショーでも競演し、農工大は飛び出してきた子どもの模型をぎりぎりでよける自動運転を披露。トヨタはプリウスが前方に止まっている車を自動的によけ、レーザーの反射光をとらえて車間距離を精密にはじき出すレーザーレーダーの研究成果を公表した。

高齢者が元気に長く働ける社会。実現には、最も一般的な交通手段である自動車を高齢者も安全に使いこなせる技術が欠かせない。「オールジャパンで開発に取り組まなければ」。東大の鎌田実・高齢社会総合研究機構長はトヨタなどとの共同研究に関連し、事故死傷者ゼロを目指し日産自動車やホンダのエンジニアも参画する予防安全技術の研究会を発足させた。

未来の車づくりは自治体レベルでも動き出した。昨年11月、福岡県朝倉市役所にトヨタ車体や日産自動車の電気自動車(EV)12台が集結した。ドライブレコーダーを設置、運転手の心拍を測定しながら高齢者のスピードの出し方やブレーキの踏み方の特性をみる。

自動車、運転補助で外出促す

実施したのは、36道府県が参加する「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合」(会長、小川洋・福岡県知事)。トヨタや日産も入った開発委員会(委員長、小林敏雄・日本自動車研究所長)が高齢者にやさしい車のコンセプトをまとめた。朝倉市での実験も実現へ向けたステップだ。

自治体が連携した背景には共通の危機感があった。特に公共交通網が不十分な地方は、高齢者が車を運転できなくなれば買い物や通院に支障が出る。全国で高齢ドライバーの免許返納は06~10年で約20万人にのぼり、家にこもりがちになれば見回りや介護など行政負担も増す。

高齢者による交通事故は10年に10万6000件と00年比で5割増え、安全対策強化を迫られる自治体は車の技術に踏み込む必要があった。「我々のプロジェクトと、トヨタ・農工大などの活動は将来、一本化したい」。知事連合・開発委員会の小林委員長がこう話すように、大きなうねりとなる可能性もある。

少子化が進む日本はいかに高齢者の就業機会を増やしていくかが、社会の活力を左右する。一般に定年は60歳だが、政府は企業に対し65歳までの再雇用の義務付けを厳格化する方向で検討中。さらに高齢者を支える技術も進化すれば、75歳現役社会も夢ではない。

インターネットでソフトなどを利用するクラウドを使い、元気なお年寄りの就労支援ができないか――。東大と日本IBM、NHK放送技術研究所は今後は高齢者もネットを使いこなすとみて、こんな研究を始めた。

経験はあるが肉体的に衰え、通院などで時間的に無理が利かない場合もある。ただ高齢者が複数集まれば、若者1人分以上のデスクワークができるかもしれない。個人ごとに空き時間や保有資格の情報をクラウドに入力。請け負った仕事が一定レベル以上でこなせるよう、自動的に数人を組み合わせて仕事を引き継ぐ。「クラウドの中でお年寄りの能力を仮想化し、新しい1人として合成するイメージ」と広瀬通孝・東大教授はいう。

農業、力仕事は装着型ロボで

環太平洋経済連携協定(TPP)が実現すれば、輸入品との競争激化が予想される農業。ここでも経験のある高齢者の活用は待ったなしだ。

山梨県甲州市のあるブドウ農家では、枝の剪定(せんてい)などにパワーアシストスーツを使う実証実験が進んでいる。

農工大大学院の遠山茂樹教授が装着型の介護用ロボットを改良、負担のかかる腰や腕の動きを補助する。バネの構造に工夫して高価な超音波モーターから置き換えるなど10キログラム強まで軽量化、価格を60万円程度に下げて実用化した。

高齢者の負担をさらに減らすよう、今後はセンサーでブドウの糖度や成分を測って品質管理する機能も付け、中国や中東にも売り込む。

在宅医療便利に、健康状態を常に把握

旭化成の富士支社(静岡県富士市)の敷地に、旭化成ホームズが描く未来住宅のモデルが近く完成する。3階建ての1階は医療ゾーン。人工透析器や血圧の変動、透析の針の抜け落ちを監視するシステムなどを用意し、血圧など健康状態を毎日定期的に医療機関に送る仕組みづくりを目指す。旭化成ホームズの平居正仁社長は「高齢者の在宅医療が変わる」と話す。

独立行政法人・産業技術総合研究所は超高齢化社会の将来像から必要な研究を考える課題解決型の発想に立ち、研究テーマを総ざらいするプロジェクトを11年にスタートさせた。近く、企業も巻き込んだ研究会を発足する。例えば、「人のつながり」を分析するといった技術などが候補だ。

超高齢化社会にどう対応していくのか。政策、社会の仕組み、地域コミュニティーなど様々なアプローチが必要だが、技術によって解決できる課題も多いはずだ。技術革新を起点に、新しい生活や医療のモデルへと発展させていく。超高齢化という共通のテーマに挑む日本の行方を世界が注目している。

(三浦義和、鴻知佳子、中谷庄吾、上月直之)

【生産年齢が10年延びれば… 2055年、3人に2人が現役】
 日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8700万人強をピークに減り続けている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年時点は約8130万人(総人口の約64%)。55年には4600万人弱に減り、人口比率も50%強まで落ち込む。
 しかし現役の高齢者が増え、生産年齢が延びると別の風景が見えてくる。仮に15~74歳を生産年齢人口とすると、10年は約9650万人で人口比率は76%。55年に約5850万人まで減るものの、3人に2人は現役として働ける計算だ。
 高齢化のスピードは世界に類がない。総人口に占める65歳以上の人の割合(高齢化率)は1950年に5%で、先進国の中でも80年代までは下位だった。05年に20%を超えて世界最高になると、10年には23%まで上昇。高齢化率が7%から14%になるまでに要した年数はわずか24年とスウェーデン(85年)、英(47年)、独(40年)や仏(115年)より圧倒的に短い。2055年に高齢化率は40%を突破する見通しで、世界のどの国も経験したことのない未知の領域に突入しつつある。
 介護を含めた社会保障給付費は増え続け、政府の財政を圧迫している。国民所得に占める社会保障給付費の比率は70年の6%から08年に27%へ上昇した。95年に4.8人の生産年齢人口で高齢者1人を支えていたのが、55年は同1.3人で1人を支える構図となる。

[日経産業新聞2012年1月1日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_