都内の開かずの踏切、22年度までに解消へ
京王線笹塚―つつじケ丘間、撤去に着手
東京都内にある長時間開かない踏切で、事業化のメドが立っている区間の対策が2022年度までにほぼ完了する見通しとなった。都が京王電鉄と協力し、京王線笹塚―つつじケ丘間(約8キロメートル)の開かずの踏切25カ所の撤去や複々線化に着手。連続立体交差事業により、渋滞緩和や踏切事故の解消につなげる。これにより、都が計画する踏切対策は一部を除いてほぼ完了する。
今回の踏切対策の対象は世田谷、杉並両区などにまたがる。撤去するのはいずれもピーク時に1時間あたり40分以上閉じている開かずの踏切。乗用車や救急車、人の往来を妨げ、慢性的な交通渋滞の原因になっている。都によると、同区間では過去10年間で歩行者や自転車、自動車が列車と接触するなど踏切事故が36件発生。事態を重視し、都が事業主体となって対策に乗り出した。
高架化に伴い、明大前や桜上水、上北沢、千歳烏山など7駅を高架駅舎にするほか、地下トンネルを掘って複々線化する。事業が全て完了すると朝のラッシュ時の上下線の1時間あたりの最大本数は現在より2割増えて69本になる。終日でも1割増の1日800本となり、多摩から都心への利便性が向上する。
地下工事も含めた総事業費は約2200億円になる見通し。都は12年度の都市計画の決定、13年度の事業認可を目指す。その後、22年度に高架化と踏切の撤去を完了させる予定だ。
昨年9月に京浜急行電鉄と環状8号線が交わる踏切の付近を高架にしたところ、最大710メートルあった交通渋滞が解消し、付近の生活道路に入り込んでくる自動車が6割減少した。JR中央線の三鷹―国分寺間で、09年までに13カ所の踏切を撤去した高架化事業では踏切付近の小金井街道で最大530メートルあった渋滞が解消し、自動車の平均走行速度も4割速い時速15.1キロメートルに改善した。
都などは現在、JR中央線(三鷹―立川)や西武池袋線(練馬高野台―大泉学園)など8区間で開かずの踏切の解消を目指した連続立体交差事業を推進。京王線のほか、西武新宿線の中井―野方間(事業完了予定は20年度)と同線東村山駅周辺(同24年度)、東武伊勢崎線の竹ノ塚駅付近(同21年ごろ)なども検討している。
都内では1959年以降、36カ所で326の踏切が撤去された。ただ、1100カ所以上の踏切がなお残されている。都は「このうちの約3割が何らかの対策が必要な踏切とみている」(都市整備局)と話しており、今後、新たな対策を講じる方針だ。