福島第1のセシウム、2割が陸地に降下 静岡・長野にも
国立環境研が試算
国立環境研究所は25日、東京電力福島第1原子力発電所の事故で外部に放出された放射性セシウム137の約2割が、国内の陸地に降下したとの試算結果を発表した。独自に開発したコンピューターによるシミュレーション(模擬実験)で解析した。大部分は海洋に流れ出たが、陸地に降ったセシウムは静岡県や長野県にも広がっていた。
試算したのは、東日本大震災が発生した3月11日から3月30日まで。日本原子力研究開発機構による放射性物質の放出量の時間変化をもとに計算した。
原発から放出された放射性セシウムは粒子状になって雨に取り込まれ、地面に降った。試算の結果、放出量の22%が陸地に落ち、残りは海に降った。福島第1原発は海岸線にあり風などの影響で大部分が海に流れたためとみられる。
積算量は、福島県東部・中央部だけでなく、宮城県南部や栃木県北部などでも高濃度地点があった。雨が降ったかどうかが局所的に放射線量が高い「ホットスポット」の形成につながった。
一方、放射性ヨウ素131は大半がガス状で雨の影響をさほど受けず、陸地の降下量は13%にとどまった。
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