米経済の減速鮮明 4~6月のGDP1.3%増にとどまる
1~3月は大幅下方修正
【ワシントン=御調昌邦】米商務省が29日発表した2011年4~6月期の米実質国内総生産(GDP、速報値、季節調整済み)は前期に比べて年率換算で1.3%増にとどまった。過去の統計を改定した結果、1~3月期は0.4%増と伸び悩み、従来の数字よりも1.5ポイントの大幅な下方修正となった。米経済が今年に入り減速傾向を強める姿が鮮明になった。
4~6月期の実質成長率は市場予測の平均(1.7%)に届かなかった。2%台後半とされる潜在成長率も大きく下回る低水準。8四半期連続のプラス成長ではあるものの、11年前半は08年の金融危機以降で低成長が最も目立つ局面となった。
今後は米議会で難航する連邦債務の上限引き上げを巡る混乱が懸念材料。財政が制約を受ける中で、景気を支えるため米連邦準備理事会(FRB)による追加金融緩和の観測は強まりそうだ。
4~6月期の内訳をみると、GDPの約7割を占める個人消費が前期比・年率で0.1%増と2年ぶりの低い伸びに沈んだ。自動車購入が大きく落ち込んだことに加えて、ガソリン高や雇用の鈍さが響いたとみられる。
企業の設備投資は6.3%増え、6期連続のプラスとなった。海外の需要もけん引した。輸出は6.0%伸びた半面、輸入が1.3%増となり、輸出から輸入を差し引いた「純輸出」はGDPを押し上げた。政府支出は1.1%減。連邦政府の非国防分野や地方政府の支出減が響いた。住宅投資は3.8%増えた。
商務省が統計を改定した結果、景気減速が指摘されていた10年4~6月期のGDPは3.8%増となり、2.1ポイントの大幅な上方修正となった。