陸前高田の松からセシウム 京都市、送り火使用断念
京都市で16日に行われる「五山送り火」に関連し、岩手県陸前高田市の松を使う計画がいったん中止になった問題で、京都市は12日、新たに取り寄せた松の薪(まき)の表皮部分から放射性セシウムを検出したため使用を断念すると発表した。
京都市によると、民間の検査機関で同日、500本の松の表皮を少しずつ切り取ってまとめて検査した結果、1キログラム当たり1130ベクレルのセシウムが検出された。セシウム134が542ベクレル、セシウム137が588ベクレルで、松の中心部分からは検出されていない。市は処分方法について「今後専門家に意見を聴いて検討する」としている。
門川大作京都市長は使用断念の理由について「放射性物質が検出されるかされないかが判断基準だった。野焼きについて国の安全基準はなく、市が独自に判断することはできない」と話した。
「断念せざるを得ないのは残念な結果であり陸前高田市や被災地のみなさんに心からおわび申し上げる」と陳謝。「今回のことが被災地の産品に対する誤解につながることがないようご理解をお願いします」と述べた。
最初に京都市に送られる予定になっていた松からは放射性物質は検出されず、陸前高田市で8日、「迎え火」として燃やされた。この松については木の中心部分だけを検査しており、表皮については調べていなかった。
一連の問題は、放射性物質を懸念する声を受け、大文字保存会(京都市)が薪の受け入れを取りやめたことで表面化。11日までに五山全てで別の松を受け入れることになっていた。〔共同〕