NY円、3日続伸 1ドル=79円20~30銭で終了 4カ月ぶり高値
【NQNニューヨーク=古江敦子】12日のニューヨーク外国為替市場で円相場は大幅に3日続伸し、前日比1円ちょうど円高・ドル安の1ドル=79円20~30銭で取引を終えた。欧州債務問題への警戒感から幅広い通貨に対して円が買われた欧州市場の流れを引き継いだ。
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は11日夜(日本時間12日未明)に開いた財務相会合で、ギリシャへの第2次金融支援の結論を持ち越した。同国の債務不安が他の諸国に広がるとの懸念も根強い中、12日は米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがアイルランドの長期国債格付けを「投機的」等級に引き下げた。
欧州の債務問題の先行き不透明感を背景に投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、低金利で相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが対ユーロで加速。円の対ドル相場にも、円買いが波及した。
米連邦準備理事会(FRB)が午後2時に6月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を発表、一部の委員が「米景気の減速が長引いた場合、追加刺激策を考慮する必要がある」と言及したことが明らかになった。米国の緩和的な金融政策が長期化するとの思惑も円買い・ドル売りを誘った。
円は早朝のロンドン市場で79円18銭と東日本大震災直後の3月18日以来、ほぼ4カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。ニューヨーク市場の終了間際にも79円24銭まで円高が進んだ。ニューヨーク市場での円の安値は朝方付けた79円86銭だった。
円は対ユーロで大幅に3日続伸し、前日比1円80銭円高・ユーロ安の1ユーロ=110円70~80銭で取引を終えた。ロンドン市場で一時109円59銭と、3月17日以来の円高・ユーロ安水準を付けた。
ユーロは対ドルで3日続落。前日終値の1ユーロ=1.40ドル台前半から1.39ドル台後半に下落した。ロンドン市場で一時1.3838ドルと3月11日以来のユーロ安・ドル高水準を付けた。その後もアイルランドの格下げなど欧州債務問題の深刻化を背景にユーロ売り・ドル買いが出た。
ただ、イタリアが短期債入札を無難にこなしたと伝わったことや、FOMC議事要旨の発表直後に米金融緩和の長期化観測が出たことで、ユーロは対ドルで下げ幅を縮め、買い優勢となる場面があった。
ニューヨーク市場でのユーロの安値は朝方の1.3950ドル、高値は1.4054ドルだった。