中国企業の会計不信疑惑、株主による大型訴訟に発展
【香港=川瀬憲司】中国企業の「会計不信」疑惑が新たな大型訴訟に発展する見通しだ。カナダ・トロントに上場する中国の木材事業会社、嘉漢林業国際(シノフォレスト)の株主であるカナダの投資会社と年金基金が26日、「資産や業績が著しく水増しされていた」として同国オンタリオ州の裁判所に、嘉漢林業を相手取った集団代表訴訟(クラスアクション)を起こした。
訴訟の対象は嘉漢林業と同社の幹部20人に加え、新旧の監査法人、上場にかかわった金融機関15社、特定の林業コンサルタントなど。原告側は投資会社と年金基金のほか、2004年8月17日から今年6月2日までに嘉漢林業の株式や債券を購入した投資家が含まれる。
6月2日は香港の調査会社マディー・ウオーターズ・リサーチが不透明な事業構造や資産水増しなどを指摘したリポートを公表し、不正会計疑惑が明るみに出た日にあたる。
嘉漢林業は疑惑を否定するとともに、社内に独立委員会を設置し独自の調査を続けている。しかし、カナダのオンタリオ証券委員会は8月26日、「オンタリオの証券法や公共の利益と矛盾する取引」があった疑いなどから、「嘉漢林業のすべての有価証券の取引停止」を決定。その直後に、創業者の陳徳源(アレン・チャン)会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任している。
なお、同社株は取引停止が続く一方、同委員会も調査を続けている。