セシウム汚染疑い牛、37都道府県に流通
福島県郡山、喜多方、相馬3市の肉用牛農家5戸から放射性セシウムを含む稲わらが与えられた牛84頭が出荷された問題で17日、このうち1頭から暫定規制値を上回るセシウムを検出した。84頭からの規制値を超える検出は初めて。南相馬市や浅川町産を含む汚染の可能性がある牛の流通先は少なくとも37都道府県に上ることも判明した。
これまでに汚染の疑いのあるケースを含め出荷されたのは、南相馬市の17頭、浅川町の42頭、郡山など3市の84頭の計143頭。関係自治体の調査などから、浅川町の農家が出荷した分は富山、山口両県にも流通したことが新たに判明し、流通先は少なくとも37都道府県となった。
84頭は8都府県に出荷、流通したことが分かっていたが、都などによると、新潟、神奈川、長野、愛知、三重、滋賀、京都、兵庫、福岡の9府県にも流通していたことが新たに判明。流通先は計17都府県となった。
東京都などによると、郡山市の農家が出荷した15頭のうち1頭の肉から暫定規制値(1キログラムあたり500ベクレル)を超える同2300ベクレルのセシウムが検出された。この肉は福岡、東京、愛媛、愛知、神奈川の5都県に流通。愛媛県松山市も同じ牛の肉から、同2400ベクレルのセシウムを検出したと発表した。
15頭のうち7頭は都内、8頭は埼玉県の食肉処理場に出荷され、食肉に加工された。時期は3頭が7月、12頭が4~6月。埼玉で加工されたうち2頭の肉は、いずれも規制値を下回った。
都は17日、浅川町から都内に流通した牛1頭の肉からも同680ベクレルのセシウムを検出。一部が世田谷区の卸売業者に出荷されていた。
厚生労働省は17日、規制値を超えるセシウムの検出を受け、郡山市の農家が出荷した15頭の個体識別番号を同省のホームページ上に掲載した。