原発ストレステスト「なぜこの時期に」 地元困惑
政府の唐突な方針表明に対し、原発が立地する自治体では戸惑いの声が上がった。佐賀県の古川康知事は6日午後、同県庁で記者団に「なんでこの時期になって、と驚いている」と述べた。
6月末に同県を訪れた海江田万里経産相から「原発の安全性は国が保証する」との確約を得て、再稼働を容認する姿勢を見せていた矢先。それだけに古川知事は「経産相と首相はコミュニケーションが取れているのか。首相の考えを理解しないうちは最終判断できない」と不信感を示した。
原発が立地する玄海町の当惑はさらに大きい。同町の岸本英雄町長は「町を小バカにしている」と憤りをあらわにした。岸本町長は6月末の経産相との会談を受け、九電に「再稼働を了承する」と伝達済み。その直後に新たな調査を追加した政府の対応に「なぜもっと早くしなかったのか。国が場当たりの『やっつけ仕事』をしてはいけない」と批判した。
正式表明した再稼働同意については「現時点で保留や撤回は考えていない」と説明。ただ、ストレステストの結果、玄海原発に何らかの危険性が指摘された場合は「再開了承の撤回も検討せざるを得ない」と話した。
他の原発立地自治体にも波紋が広がった。6日夕に緊急記者会見を開いた新潟県の泉田裕彦知事は「安全宣言を既に出していたのに順番がおかしい」と指摘。「こういう対応をしていると原子力行政への不信感が高まる」と語った。
愛媛県の中村時広知事は「(ストレステストを)いつ、どこで、誰がどのくらいの期間でどんな内容で行うのか全く情報がない。なんとも言いようがない」と述べた。