住民気遣いサイレン自粛 十津川村、ダム放水時
雨が続く奈良県十津川村では17日、小森ダムなどで貯水量を減らす放水があったが、住民に知らせるサイレンは鳴らさず防災無線で呼び掛けた。村の男性職員(39)は「住民はサイレンの音に敏感になっており、土砂ダム決壊と勘違いする可能性がある。これ以上疲弊させたくない」と気遣った。
自宅が警戒区域に指定され、避難生活を続ける同県五條市大塔町宇井のトラック運転手、田垣博さん(56)は「今日は雨で土砂を運ぶ仕事も中止。いまさら何を考えても仕方がない」と話した。
一方、和歌山県は予想されていたほど雨が降らず安堵感が漂った。同県那智勝浦町では青空ものぞき、警戒にあたっていた消防署員は「大したことがなくてよかった」と胸をなで下ろした。
避難勧告が解除されたばかりの同県田辺市深谷地区では、ぱらつく雨の中で住宅の片付けをする住民の姿があった。実家が土石流で損壊し、神奈川県から帰省中の谷口寛樹さん(23)は「少しの雨でまた被害が出るかもしれない。(雨予報が出ている)19日からの大雨が心配」と、茶色く濁る川を見下ろした。〔共同〕