中国高速鉄道、埋めた車両掘り返し 批判かわす狙いか
【上海=菅原透】中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で、中国政府の事故調査チームは現場に残る車両を温州西駅に運び、調査することを決めた。新華社(電子版)が26日伝えた。現地からの報道などによると、いったん土中に埋めた先頭車両も掘り返したもよう。事故直後に衝突車両の一部を埋めたことにインターネット上で批判の書き込みが相次いでおり、こうした批判をかわす狙いもありそうだ。
計器類などから事故原因の究明につながる可能性があるにもかかわらず、先頭車を土中に埋めた作業の様子は、動画投稿サイトなどにも掲載され、当局が証拠隠滅していると疑う向きも多かった。25日の日中はショベルカーなどで車両を粉砕する作業は行われておらず、車両を埋めた付近を掘り返す作業を始めたとみられる。
国営通信社の中国新聞社は26日、重大な事故が起きた際に原因究明を指揮する国家安全生産監督管理総局が同日午後、温州で事故調査会議を初めて開くと報道。政府が事故調査を本格化する動きが出てくるとみられる。
一方、一部メディアは衝突された列車の通信設備には異常がなかったとする当局関係者の話を伝えた。事実だとすれば、緊急停車したことを運行管制センターに知らせることは可能だったことになる。何らかの原因で、緊急停車を示す信号を後続列車が受け取れなかった可能性も出てきた。
鉄道省は24日夜、全国の鉄道局に9月末までの安全検査の徹底を要求するなど、安全強化への取り組みも始まった。ただ、6月末に開業したばかりの北京と上海を結ぶ高速鉄道では、25日夜にも電力設備の故障で一部列車が立ち往生するなど、トラブルが続いている。