汚染疑い牛、1200頭超す 新たに4県で出荷・流通
放射性セシウムを含む稲わらを肉牛に与えていた問題で、新たに岩手、秋田、群馬、静岡県の農家から汚染疑いのある牛が計585頭出荷されていたことが20日、各県の調査で分かった。既に判明している福島、山形、新潟、埼玉の4県分を含め計1235頭が出荷・流通されたことになる。流通先は鳥取、沖縄県を除く45都道府県に上った。
20日明らかになったのは、岩手県一関市などの農家が使用していたわらで、国の暫定規制値(1キログラム当たり300ベクレル)を超えるセシウムが検出された。岩手県産からの検出は初めて。静岡、秋田の農家は宮城県登米市産のわらを使用していた。
新たに判明した4県の出荷数は群馬355頭、静岡148頭、岩手81頭、秋田1頭。静岡からは同県内と愛知、大阪の1府2県に出荷された。岩手は東京、岩手、神奈川の1都2県に出荷。秋田の1頭は解体されたが、市場には流通していない。
静岡県によると、富士宮市の農家が宮城県登米市産の稲わら70トンを購入。わらから1キログラム当たり9380ベクレルの放射性セシウムが検出された。秋田の農家も登米市の業者から登米市産のわらを購入。このわらから2万ベクレルを検出した。
岩手県では一関市と藤沢町の農家5戸が牛に与えていたわらから最大で5万7千ベクレルを検出。この5戸のほか、両市町の7戸も事故後に集めたわらを牛に与えていたが、残っておらず検査できなかった。この計12戸から81頭が出荷された。
群馬県では県内の農家1戸で宮城県産の稲わらから暫定規制値を超える放射性セシウムを検出、この稲わらを与えていた牛355頭が県内の食肉処理場に出荷された。
また新潟県は、18日に判明していた規制値を超える放射性セシウムを含む稲わらを与えられ、出荷された24頭について、少なくとも1都9県に流通していたと20日、発表した。〔共同〕