日銀が追加緩和 資金買い取り基金10兆円増の50兆円に
日銀は4日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の規模を従来の40兆円から50兆円に増やす追加の金融緩和策を決めた。円売り・ドル買い介入を受け、当初2日間の予定だった会合を1日に短縮し、前倒しで金融緩和に踏み切った。大幅な円高で日本経済が悪化するのを避けるため、政府と歩調を合わせて「強い姿勢を示す」(白川方明総裁)狙いがある。
追加緩和策では、国債や社債、上場投資信託(ETF)などの買い取り枠を従来の10兆円から15兆円に増やす。年0.1%の低利で長めの資金を貸し出す固定金利オペ(公開市場操作)の供給枠についても30兆円から35兆円に拡大する。市場金利の低下を促し、企業マインドの低下を防ぐ。
日銀は4日の決定会合で、景気の現状判断について前月の「持ち直している」から「着実に持ち直してきている」に一歩進めた。緩やかな回復経路に戻っていくという景気シナリオも崩れていないとみている。
だが、米景気の減速懸念が高まるなど、海外経済の「不確実性は大きい」(白川総裁)。円高が企業心理などに悪影響を与える可能性も高く、下振れリスクに警戒を強めている。電力の供給不安に円高が加わることで企業の生産拠点の海外シフトが加速する恐れもあるとした。
政策金利は従来の年0~0.1%に据え置き、ゼロ金利政策の維持を決めた。日銀は会合後に公表した声明のなかに「物価安定の実現までにはなお時間を要する」との表現を盛り込み、当面はゼロ金利を堅持する姿勢を改めて強調した。
政府と円高阻止で足並みをそろえたが、白川総裁は追加緩和が「日銀自身の判断」だと強調した。