「福島の牛売れない」 畜産農家に悲痛な声
福島県の畜産農家が放射性セシウムを含む稲わらを牛に与えていた問題で、新たに411頭の出荷が18日、判明した。汚染された可能性のある牛が市場に流通し、消費された可能性が次々と明らかになる事態に畜産関係者からは悲痛な声がもれた。
「福島の牛はもう売れない」。今回判明した411頭のうち最多の383頭が出荷された農家がある須賀川市内で肉牛農家を営む別の農家の女性(60)は声を絞り出すように語った。女性の牛舎にも17日に県の調査が入り、稲わらからは放射性セシウムは検出されず安心していた直後だったといい、「これで須賀川の牛も売れなくなる。今後どうすれば……」と落胆する。
稲わらは近隣の稲作農家から入手しているが、今後、県内の稲わらが使えなければ新たに調達先を探さないといけない。「福島だけでなく近隣の県も安全とはいえない。今後どこから稲わらを調達すればいいのか」と頭を抱えた。
JA全農福島の男性職員は「消費者あっての畜産業である以上、問題が簡単に収束するとは思えない。これまで培ってきた福島牛ブランドはどうなるのか」と絶句。屋外で保管した飼料を家畜に与えないように求めた3月の国の通知はJAを通じて各農家に伝わるはずだったことから「結果論だが、もっと周知できていれば、こんなことにはならなかった。悔しい」と唇をかんだ。