京都送り火、陸前高田の松の使用取りやめ 「汚染心配」
京都市で16日に行われる「五山送り火」の一つ「大文字」の護摩木として東日本大震災の津波で流された岩手県陸前高田市の松を使う計画が、放射性物質の汚染を不安視する声を受け、取りやめになったことが6日、関係者への取材で分かった。
大文字保存会は京都に松を運ばず、陸前高田市で迎え火として使う方向。代わりに、震災の遺族らが祈りの言葉を書き込んだ松の護摩木を写真撮影して、別の木に書き写し、大文字で燃やすよう調整しているという。
送り火は盆に迎えた先祖の霊を送り出す伝統行事。大分市の美術家、藤原了児さん(61)が「被災者が松に思いを託し、心の整理がつくのなら」と発案。保存会の快諾を得たうえで、陸前高田市で松から長さ80センチの護摩木約200本を用意し、準備を進めていた。
京都市や同保存会によると、取り組みを知った市民から7月に入り「放射能汚染が心配」などの声が寄せられた。松から放射性物質は検出されなかったが、保存会は議論の末、8月に入って取りやめを決めたという。
藤原さんは「不安視されることは理解できるので、遺族の思いを大事にしてもらい良かった」と話す。保存会の松原公太郎理事長は「計画は変更されたが、心を込めて(代筆した護摩木を)燃やしたい」と話している。〔共同〕