検察立証不備で無罪、二審やり直し認めず
振り込め詐欺未遂事件で現金の受取人役を演じたとして詐欺未遂の罪に問われ、一審で無罪判決を受けた男性被告(30)の控訴審判決で、東京高裁は9日、一審判決を支持し、検察側控訴を棄却した。
検察側は「詐欺の故意があった」と主張し、被告の口座が振込先に使われたことを示す証拠などを控訴審で請求したが、小西秀宣裁判長は「一審でも取り調べができた証拠だ」と指摘。検察側の一審立証の不備を二審で全面的にやり直すことを許せば「一審を軽視する風潮を助長しかねない」として請求を退け、無罪の判断を維持した。
今年2月の一審・東京地裁は「被告が道具として利用された可能性があり、犯罪の内容を当然に知っていたとはいえない」として無罪を言い渡していた。