「けっぱれ」ねぶた(震災取材ブログ)
東北最大の夏祭りとして知られるねぶた祭(青森市)が2日、開幕した。つややかに光るねぶたは高さ5メートルにもなり、製作も1年がかりの大仕事になる。「ねぶた師」と呼ばれるプロの製作者は祭りが終了するや、翌年の構想を練り始める。幻想的な作品は汗の結晶といえる。
2010年に大賞を受賞したヤマト運輸は、今年のテーマに「滝不動」を選んだ。神聖な滝の中から姿を現す、炎に包まれた不動明王がモチーフ。責任者を務める白鳥初男さんは「本番でも無駄な動きはやめたい。じっくり見てほしい」と自信を見せる。
このねぶたの製作には、スペインから留学中のサンティアゴ・サリナスさんも携わった。専門は彫刻という彼も「これが全部手作りとは……。びっくりしました」と脱帽。顔や手足、刀などの部品は冬場に作り、骨組みに張った和紙に墨やろう、絵の具を使って慎重に、繊細に仕上げてきた。
「津軽弁の『けっぱれ』は標準語の『頑張れ』とは違うの。そうだね、3倍くらいは強いかな」と白鳥さん。東日本大震災後の自粛ムードで予想される客足の不振を、跳人(はねと)たちの威勢の良い「ラッセーラ」の掛け声で吹き飛ばしたいところだ。(市原朋大)