信用取引の損失拡大 個人が処分売り
株式相場の急落で、証券会社に資金を借りて株式を買う信用取引をしていた個人投資家が損失を抱え、処分売りを迫られるケースが増えている。9日の東京市場ではソフトバンクなど信用取引の買い残高が多い銘柄が大きく下落。新興株式相場が日経平均株価を上回る下げに見舞われたのも、個人の処分売りが影響しているもようだ。
信用取引は差し出した証拠金の数倍の株式を取引できる。株価が上昇すると大きな利益を得られるが、下落時には証拠金が目減りするため「追い証」と呼ばれる追加の担保が必要だ。担保を差し出せなければ、保有株は強制的に売られる。
日経平均は過去2週間で10%以上下落し、ここにきて追い証の発生が急増。ネット証券大手の松井証券では8日現在、信用買いをしている投資家は平均19%台の損失を抱えている状態という。8日に「通常の10倍以上の追い証が発生した」というネット証券もある。
マネックス証券の金山敏之シニア・マーケット・アナリストは「追い証の発生に伴う売りが株安に拍車をかけている」と指摘する。個人の売買が多い新興市場では売りが増えており、東証マザーズ指数の下落率は9日に一時、6%を超えた。主力株でもソフトバンクやコマツなど信用買い残の多い銘柄は5%以上下落した。
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