福島の産廃施設で高濃度セシウム 焼却灰から検出
環境省は15日、福島県内の産業廃棄物焼却施設から、放射性セシウムを1キログラム当たり14万4200ベクレル含む焼却灰が出たと発表した。国の基準値(同8千ベクレル)の18倍に相当する。処分方法が決まっていない10万ベクレルを超える高濃度の放射性物質を含む焼却灰が出たのは初めて。岩手、千葉の産廃焼却施設からも基準値を超える焼却灰が出ていたことも判明した。
環境省は6月に東京・江戸川の清掃工場から基準値を超える焼却灰が出たことを受け、16都県に対し測定を要請していた。
今回の産廃焼却施設を対象とした調査では、全体の6分の1にあたる110施設で測定した。福島で4施設、岩手で1施設、千葉で1施設の計6施設で基準値を超えた。福島の1施設で14万ベクレル以上という高濃度の汚染焼却灰が検出されたが、残りの5施設は1万~3万ベクレルの範囲におさまった。
すでに一般廃棄物焼却施設では、7都県の42施設で国の基準値を超える焼却灰が出ていた。福島では9万5300ベクレルが最高値だった。
環境省によると、10万ベクレル以下の焼却灰を埋め立て処分しても、処分場と住居が一定距離離れていれば、周辺住民の被曝(ひばく)量は年間1ミリシーベルトを下回るとの試算があるという。
ただ、地下水への放射性物質の漏洩が懸念されるため、8千ベクレル以下は通常通りの埋め立て処分を認めているが、8千~10万ベクレルは焼却灰をコンクリートで固めた上で容器に入れるなどを埋め立て条件としている。
一方、10万ベクレルを超える焼却灰の処分法はまだ決まっていない。環境省は重金属など有害物質を含む廃棄物を処分する「遮断型最終処分場」をモデルに具体策の検討を進めている。