日本原電、ベトナム原発の事業化調査開始 原子炉選定が本格化
日本原子力発電はベトナム政府が計画中の原子力発電所建設プロジェクトの事業化調査(FS)を開始する。調査期間は最長18カ月。原子炉の選定作業が本格化するため、今後、工事を請け負う原発メーカーやプラントの運転・管理で協力する電力会社の絞り込みが進む可能性がある。
日本原電は28日、首都ハノイで原発の事業主体であるベトナム電力公社(EVN)とFSの正式契約を結んだ。調査費用は約20億円で、日本の経済産業省が負担する。日本原電は建設予定地である同国南部のニントアン省などで調査を実施。1~2年後に結果をまとめ、EVNに報告する。
日越両政府は昨年10月末、日本企業に原発2基の建設工事を発注することで合意した。総事業費は1兆円程度とみられている。ベトナムは深刻な電力不足に見舞われているため、同国政府は2021年の運転開始を目指している。
FSの焦点は原発メーカーなどの決定に影響する炉型の選定。軽水炉には大きく分けて沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)の2種類がある。今回のFSでBWRが推奨された場合、東京電力―東芝・日立製作所が、PWRならば関西電力―三菱重工業の組み合わせが優位になる。ただ東日本大震災で福島第1原発が事故を起こした経緯から、関係者の間では「東電が事業主体となる可能性は低い」とみる向きが多い。(ハノイ=岩本陽一)
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