NY株が大幅下落、終値419ドル安 景気減速を警戒
【NQNニューヨーク=滝口朋史】18日の米株式相場は大幅に下落した。ダウ工業株30種平均は急反落。前日比419ドル63セント(3.7%)安の1万0990ドル58セントと、年初来安値である10日以来の低水準で終えた。米経済指標が予想以上に悪化したほか、欧州債務問題への警戒感も強まり、幅広い銘柄に売りが広がった。
フィラデルフィア連銀が午前に発表した8月の景気指数がマイナス30.7と、2年5カ月ぶりの水準まで悪化した。朝方発表の週間の新規失業保険申請件数は市場予想以上に増え、7月の中古住宅販売件数も予想に反して減少。米景気の減速懸念が一段と強まった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が17日、米金融当局が欧州大手銀行の米国事業を調査していると報道した。欧州の債務問題の米金融システムへの波及を防ぐ目的といい、欧州市場で銀行株が下落。バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど米大手銀にも売りが波及した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に3日続落し、同131.05ポイント安の2380.43(同)と8日以来の安値で終えた。前日夕に発表した四半期決算で在庫調整に直面しているとの認識を示した通信機器大手JDSユニフェーズが急落。幹部が7月以降に幅広い減速がみられたと述べた外部記憶装置大手ネットアップも下げ、指数を押し下げた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種が下げた。「素材」や「エネルギー」など全体の半数にあたる5業種の下落率が5%を上回った。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約16億2000万株(速報値)、ナスダック市場が約27億3000万株(同)だった。
パソコン大手のヒューレット・パッカード(HP)が6%近く下落。通常取引終了後に四半期決算発表を控え、米メディアが「パソコン事業の切り離しとソフトウエア会社の買収を検討している」と伝えた。2012年から3年間で中国に40億ドルを投資すると発表した飲料大手コカ・コーラも下げた。朝方に増収増益決算を発表したディスカウントストア大手ダラー・ツリーも売りに押された。
一方、岩盤層の間にある「シェールガス」鉱脈の権益の一部を石油中堅のノーブル・エナジーに売却することで合意したと発表した石炭大手コンソル・エナジーが小幅高。ディスカウントストア大手ウォルマート・ストアーズが上昇し、ダウ平均構成銘柄で唯一上昇した。